令和2年度の二級建築士製図試験課題が、高齢者住宅に併設するシェアハウスとなっています。空家問題に軸足を置く国土交通省としては、タイムリーな選択といえると思います。
シェアハウスに関しては近年法改正もありましたので、ここで整理してみたいと思います。
目次
居室が100m2未満であれば規制緩和
シェアハウスは、建築基準法では住宅ではなく、寄宿舎扱いとなります。
しかし、その階の居室の床面積の合計が100m2以下であれば、防火上の間仕切の取り扱いを緩和する規定があります。
国土交通省の取り扱いの変遷
平成25年、シェアハウスは「寄宿舎」に該当し、防火関連の規定が適用
平成25年(2013年)6月10日 国住指 657号 多人数の居住実態がありながら防火関係規定等の 建築基準法違反の疑いのある建築物に関する対策について
多人数の居住実態がありながら建築基準法の防火関係規定違反等の疑いのある状況で使用されている物件は、建築基準法上の「寄宿舎」に該当する可能性が高く、防火上主要な間仕切り壁を準耐火構造とすること等が必要と考えています。
通報窓口も設置し、厳しく取締しようとしていたことがわかります。
違法貸しルーム対策に関する通知について(H25.9.6)
その背景に、認知症グループホームで火災が発生し、5名の死者が出たことがきっかけとなっています。
併せて緩和規定も創設
あわせて法改正も行われ、政令の改正や告示(平成26年国土交通省告示第860号)の出ています。小規模なシェアハウスでは防火上の間仕切の取り扱いを緩和する内容となっています。
ワンフロアの居室100m2以下かつ火災報知器の設置かつ屋外への避難の3点が満たされていれば、防火上主要な間仕切は不要というものです。
1.居室の床面積が100㎡以下の階又は居室の床面積100㎡以内ごとに準耐火構造の壁若しくは防火設備で区画されている部分であること。
2.各居室に煙感知式の住宅用防災報知設備若しくは自動火災報知設備又は連動型住宅用防災警報器が設けられていること。
3.次のア)又はイ)に該当する部分であること。
ア)各居室から直接屋外への出口等へ避難することができること。
イ)各居室の出口から屋外への出口等の一に至る歩行距離が8m以下であって、各居室と当該通路とが間仕切壁及び常時閉鎖式又は火災により煙が発生した場合に自動的に閉鎖する戸で区画されていること。
技術的助言(平成26年8月22日付け国住指第1784号)
参考資料
令和元年、用途変更規定の緩和
戸建住宅等(延べ面積200㎡未満かつ階数3以下)を福祉施設等とする場合に、在館者が迅速に避難できる措置を講じることを前提に、耐火建築物等とすることを不要とする
https://www.mlit.go.jp/common/001242723.pdf
用途変更に伴って建築確認が必要となる規模を見直し(不要の規模上限を100㎡から200㎡に見直し)
シェアハウスを積極的にすすめる段階へ
シェアハウスなどを空家など既存建築物の有効活用手段として重視するようになった国土交通省は、運用に関するガイドブックまでつくるようになっていきます。