岬めぐり

5月はキャンプをするのに最適。そして、人混みや車の渋滞を避けたところに行くのが鉄則。というわけで、今年のGWは四国の西から南の端っこの方。岬をめぐるドライブは大好きです。山をうねうねと走り、美しい川の風景に沿いながら空を見上げ、海辺の集落を観察し、岬のはじっこで、ぼんやりする。風がそよそよと流れ、トンビやツバメが縦横無尽に飛び回る。断崖絶壁の下のエメラルドグリーンの海では、磯釣りのおじさんたちが小さく見える。あー日常を忘れる一瞬。でもふと、こちらが本来のあるべき姿で、些細なことで埋められている日常生活の方が仮の姿なのかもしれない、なんても思ったりする。
今回のヒットは、竜串海岸のガウディもびっくりのすごい奇岩群、林雅子の海のギャラリー、造礁サンゴのかけら、魚屋のじーちゃんがあぶってくれたできたてのカツオのたたき、安くて甘いイチゴ。今度は、どこの端っこリアス式海岸に行こうかな。(ヤクシマダカラと造礁サンゴのかけら)

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「ルソーの見た夢、ルソーに見る夢」

タイトルとサブタイトルをちゃんと読んでなかったせいで、がっかりの気分。ルソーの作品は、一部屋だけ。全部で20点あったかどうか。同じ時代に素朴派としてルソーと共にクローズアップされた作家のものはまあいいとして、日本近代美術家から現代作家の、ルソーからの影響を軸に構成された作品群は、もう流してしまった。並んでいるものが問題だったわけではなく、ルソーを見られて嬉しいという期待が見事にはずれてしまったせいだ。でも、ルソー像をかたちづくるためには、この作品点数では少なすぎると思うし、影響を受けた作家たちというのも、ちょっとどうかなっていう人もいるし、ちょっと無理矢理ってかんじもあったし。企画としては中途半端じゃないだろうか。
これを開催していたのは、島根県立美術館。ちょうどこの日は、宍道湖畔のスケッチ・デー。鉛筆からパステル、クレヨン、絵の具、筆にパレットに画板にと、お絵かきに必要ないろいろな画材を貸してくれ、参加は無料、時間も自由。紙もいろいろもらって、3人でスケッチタイム。ここはいつも風がびゅんびゅん吹いているのに、本日は晴天で穏やかな日より。美しい湖畔の風景を堪能しました。これはとっても良い企画。(誰がどの絵?)

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「狐笛のかなた」

同じ著者の守人シリーズが有名だけど、こちらを先に読む。上橋菜穂子氏は、アボリジニの研究者でもあり興味津々。隣国の領主同士の諍いの中で、呪術による戦いが繰り広げられる。子供の頃読んだ、南総里見八犬伝を思い出すなあ。生まれつき呪者としての力を持つ小夜と霊狐として生きる野火を軸に物語は進む。この二人(二匹?)の、相手を想うことの素直で純粋な感情の揺れが丁寧に書かれていて、思わず涙が出ました。でもきっと、Tはこの箇所では泣かなかったろうね。小学生にはわかるまい。

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NUNO

オリエンタルホテルのギャラリーで開催しているNUNOの展示会に行きました。テキスタイルデザイナー須藤玲子さんのNUNOは、とても気になる存在であったにもかかわらず、過去に1,2度見る機会があっただけでしばらくその情報が途切れていました。広島で見られるなんて嬉しかったです。北欧のマリメッコみたいなプリントや、余り布を継いだ布や、布でカバーしたビーチサンダルや。重量感のあるテキスタイルというより、カジュアルなかんじのものが多かったかな。最近、布や糸や服を製作することにどっぷりはまっているので、かなり刺激になりました。しかし、このオリエンタルデザインギャラリー、ゴミ袋を下げたコックさんや、まかないのどんぶりを手にした従業員がギャラリーを横切っていくという、(レストランと厨房にギャラリーは隣接している)問題な動線がかなり問題だと思う。

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夏は?

9月に入ったらくっきりと季節が変わってしまって、ゆく夏を惜しむ余裕さえなかった。いつもは風や空に秋の気配を感じながらも、まだ残る暑さと夏の思い出に浸る時間があるのに、今年はすっぱりと場面が変わってしまった。梅雨が長引いていたせいでなかなか夏は来なかったのに加えて、今度はこの引き際の良さ。あの夏は、一夜の夢だったのではないか。ようく遊んだのに、なんだか忘れちゃったような。でも爽やかな夏の景色が残っていました。ここに。こぼれ種の朝顔にほうきとられて…

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