「やみくも」鴻巣友希子 筑摩書房

翻訳を仕事にしている人なのだが、どこかで短文をちらっと読んで名前を覚えていた。
「やみくも」センスいいよなあ。言葉を選ぶのって、センスが出るものね。読んでいてくすっとするようなことがあったり、「くー、うまいっ」って感じるところがあったりして、楽しかったあ。「本の中で忘れがたい文章に出会うと、不粋を承知で付箋を貼らずにはいられなくなる性癖がある。」というのを真似て、そうか、この本付箋を付けて読んでみようと挑戦してみた。で、貼った箇所を手帳に書き写したりして(本返さなきゃならないしね)、さてはがした付箋をどうするか。貧乏性なせいでなんだかぱっと捨てられなく、また束に重ねて貼ったりして。収まりの悪い付箋の束。だから付箋はいつも好んで使えないのだ。やっぱり私には習慣にはなりそうにないな。
そしてまた、これも挿し絵がいいのである。(絵・さげさかのりこ)コンテか鉛筆かで描かれたスケッチ風のモノクロの犬やら景色やらが文中に挟まってくるのだが、挟まり方がいいのである。装幀の仕事かなこれは。

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