のりの図書館通い

★ 目に入ったら、ぜひよんでみて
★★ 再読したい、もしくは購入したい
★★★ すぐにでも手に入れたい


井川博年「そして、船は行く」思潮社★★   
好きな詩人に出会うこと、それは恋愛の始まりのようにうきうきするもの。だってなにしろ詩人よ。人生そのものじゃないですか。フェリーニの映画のタイトルを持って来ちゃったりして、でも「ゴシップ歌謡曲ー無名になった時のことを考えると犬は飼えない 森進一」なんてタイトルの詩もあったりして。目から鱗がはずれる。読んでいて、情景が浮かんでくる。風景じゃなくて。



荒川洋治「夜のある町で」みすず書房★★   
読書の場としては、台所のガスコンロの前で料理をつくりながら、と、寝る前に布団にはいって、と、公園へ子供と遊びに行って木陰で、という3パターンが最近の主なもの。この本を読んでいる間、本を開くのがどこででもとても幸せでした。文字を目で追う。言葉が中に入ってくる。その間合いというか速度というか、馴染みやすくて。きっとそれは何度読み返してもそうだろうと思うので、それが嬉しかったんだと思う。



内田樹「期間限定の思想」晶文社★   
ウチダ先生が仮想女子大生を相手に大人になるための説教、という体裁は、「わかるかな君?」ってかんじでちょっと興ざめなところもあるけど。毛利・橋本氏の「子どもが…」で言われていることと重なってくるところもあり、大人子供問題は、最近の現代思想のキーワードなのか?岡ひろみと藤堂くんが出てきたり、仕事とは次のプレイヤーに出すパスのようなものとか、文化的雪かきとしての村上春樹の世界の解説やら、つかみはかなりヒットしている。



金井美恵子 絵・金井久美子「待つこと、忘れること?」平凡社   
金井美恵子氏が料理に関するエッセイを書くとこうなるわけ。作ってみようと思う料理や、それらの料理にまつわる映画やら文学について、やはり違う階層の人だと。でも「トリの無精焼き」なんて階層を飛び越えてるから、やれるかな。なんとなく句読点が多くなって、リズムが変わった?


毛利子来・橋本治「子どもが子どもだったころ」集英社★   
年代的には橋本氏の方が近いし、子供時代の話もわかる気がする。自立について、甘えについて、母親たちの歪み、そうそうと思いあたる。子どもの頃、すごーく不条理を感じて、大人なんかだいっきらいだった。私の中に残るそういう子供が、私の子育ての場面で冷ややかな眼差しを送ってくるのだ。



子安美知子、子安フミ「菜多沙ー母と娘のリレーエッセイ」フレーベル館   
子安親子、孫の名前をタイトルに、なんとか人生をまとめる。やはり子安母の勝ちって感じだな。シュタイナー教育で子供を育てようとしている人は、この親子をどう思っているのだろう。そんなことを思われるのがいちばんいやだと、フミちゃんは言うだろうが。


小松義夫「地球生活記 世界ぐるりと家めぐり」福音館書店★★   
子供とこういう本を見るのはぜったいおすすめ。三角屋根で田の字の窓がついている家を子供らは描く。それは大人が教えているわけだ。とんでもない。家は世界を見渡せばこんなに多種多様。そしてこんな存在感のある代物を見ていると、現代の建築家がつくるものが、本当に線の細い影の薄いものに思えてくる。


「カフェなインテリアが作れる本」ASCII MOOK   
写真入りで紹介されている家具デザイナーは、若いきようびの男の子たちで、かつてのロカビリーやらサーファーやらの雑誌に登場する男の子たちとだぶるのである。カフェブームっていうのも、そういう種の流行なのであろう。その中で、push me pull youというお店は、気になる。実は以前に一度どこかでひっかかっている。いつかまた再会できるかしら。


松村恵理「壁紙のジャポニスム」思文閣出版   
現代においても、日本ブームというのは諸外国で見られるのであるが、かつて1854年の日本開国の後、19世紀後半の欧米に日本文化はカルチャーショックを与えたのである。とりわけジャポニスムを自らの装飾デザインへと反映させたのが、壁紙だった。シンメトリーの欠如、陰影を無くした平坦な画面構成、独特な自然解釈による動植物の装飾化など、日本美術の特質が様々に取り込まれた。遠い昔のはるかな異国で、日本の文様は芸術活動の一端として存在していたのである。(仕事用)


有元利夫&容子「花降る日」新潮社   
ちょっと前に、日曜美術館の特集で有元利夫の特集をしていたのを見て(どこかで展覧会をしてたからだと思うけど)、なんとなく手に取る。12.3年前のブームの時、(多分定期的に取り上げられるタイプの作家なんだろう)展覧会を観たり、本を読んだりもした。バロック音楽、リコーダー、ピエロ・デッラ・フランチェスカ。あれから時間がたって、その世界は、より乾いて古びたものになったように感じる。思い出のかけらみたいに。

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