のりの図書館通い

★ 目に入ったら、ぜひよんでみて
★★ 再読したい、もしくは購入したい
★★★ すぐにでも手に入れたい


須賀敦子「本に読まれて」中央公論社   
一番最後のところに、ある本のことをこんなふうに書いている。「この本には、私の好きなものがいっぱいつまっている。知性のもたらす静かさと制御のきいた文体、けっして声を荒らげない登場人物たち、老年の、また若さの美しさ、(中略)また、語り手がときに洩らす、早世した夫へのやさしいまなざし。」私もこれをそっくりそのまま須賀敦子氏の書く文章に感じていると書きたい。文章を読みながら、紙の上の活字を指先で丁寧になぞりたくなるような表現。おちついたおとなのひとを感じさせる人。本人はいなくなってしまっても、こうして書物として何度も会えることができて幸運に思う。



9月   
吉田修一「パークライフ」文芸春秋
「なんで?って訊かないんだったらおしえてやるよ」なおはなし。
赤瀬川原平「イギリス正体不明」東京書籍
ステレオ写真に一生懸命トライしたので、イギリスかどうか不明な写真集。
平松洋子「おいしい暮らしのめっけもん」文化出版局
装丁に使ってある切り絵の山本祐布子という人が気になる。
境野米子「一汁二菜」創森社
寒くなってくると、まさしく一汁二菜のごはんが欲しくなる。


7月   
イアン・ロバートソン著 澤口俊之監訳「なぜ月曜日は、頭が働かないのか」
齋藤裕「CASA BARRAGAN」TOTO出版
ブライアン・センテンス著 福井正子訳「世界のかご文化図鑑」東洋書林
テレンス・コンラン 「small spaces」河出書房新社
本を読む時間が無くなってきた。夏におそわれる…


6月   
森達也「世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい」晶文社
下田直子「charming bag 下田直子のembroidery」文化出版局
谷川賢作責任編集「ピアノへ」ブロンズ新社
茅木真知子「ドレスアップ・ドレスダウン」文化出版局
松長絵菜「十二ヶ月のバスケット」女子栄養大学出版部
時間がないときは、見るだけ本が多い。
下田直子の手芸は手芸の枠を越えてて、刺激される。見てるだけで気分がいい。最近のってるみたいだ。


J.D.Salinger 村上春樹訳「 The Catcer in the Rye 」白水社   
こんな流行本が、目の前に出現するなんて。いろんなところの書評もわりといい感じのことが書いてあったし、世間から忘れられた頃に借りて読んでみようか、と思っていたので、すぐさま手に取りました。最近の村上本は読んでなかったですが、やっぱり変わらず村上調なんですね。いつも村上春樹のお芝居に出てくる役者が、サリンジャーの原作の芝居にでてるって感じ。あの「僕」が、若くて、住むところも違うし使ってる言語も違うし、着てるものも、友だちも違って性格も違うんだけど、そこにいる。村上春樹って人は、すごい自己が強くて、でもすごく器用なんだ。



5月   
白洲正子 牧山桂子 八木健司 青柳恵介「白洲正子のきもの」新潮社
画・香月泰男 文・香月婦美子「夫の右手」求龍堂
堀井和子「小さな家とスイスの朝食」KKベストセラーズ
金塚晴子「ほーむめいど和菓子」文化出版局
福田里香「フードラッピング」柴田書店
ほんの木編「シュタイナーを学ぶ本のカタログ」ほんの木
神谷裕司「奄美、沖縄本の旅」南方新社


木田元「闇屋になりそこねた哲学者」晶文社★   
頭のよい人って本当に明晰で気持ちいい。自分のわからないことがはっきりとわかる。ハイデガーの「存在と時間」を初めて読んで、「おもしろかったのですが、肝腎なことは何もわかりません。なにもわかってないことだけはわかりました。この本は一度や二度これだけ読んでわかるような本ではない、ということもわかりました。」哲学書っていうのはもう何十回となく読んで、その思考を精密にたどらなくては、なにひとつわからない。時間のかかるものなのだ。「哲学をやろうなんてのはいわば出家するようなもの」。それにしても頭がよくて、喧嘩もつよく、要領もよく、知的風貌の好青年風(写真有り)。格好いいです。



藤井英男写真集「Blowin′in the Wind 風にふかれて」そしえて★   
ポストカードになりそうな写真。ファッション雑誌などを仕事の場にしているとわかり納得。いわゆるヨーロッパの風景は昔と変わらないから、2000-02年の日付が不思議な気がする。海沿いにフランス、スペイン、ポルトガル、イタリアと旅をしながら風景に出会う。この出会うというのが、写真家の才能だ。もう結構お年らしい。ちょっとお茶目なおじーちゃんってかんじ?



荒川洋治「世間入門」五柳書院   
いろいろ書いてる人なんですねえ。物書きとして仕事をしているんだ、と思いました。世間のこと、なかなか厳しく考えていらっしゃる。でも書いているものやことに対して、どういう気持ちでいるのかが、とても素直に伝わってくるのでなんだかほほえましい。例えば相撲のことに対する気持ち、とか、祖母への気持ち、とか、文学への気持ち、とか、それぞれ文体の踊り方が違う。


宇土巻子「心ふるわせ種まきて」平凡社   
メイ・サートンの「夢見つつ深く植えよ」を彷彿させるタイトルだけど、中身は違いました。もっと思索的な生活を送っているのかと思った。北海道のアリス・ファーム。後に続く人々が意外と少なかったのは、人類の抱える様々な問題の一般解ではなかったからか。

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