僕が生まれた時、うちには福音館の絵本が沢山ありました。離島の中学校の教師だった父が隣の島の御手洗の本屋さんに、兄のために福音館の絵本を何冊か注文したつもりが、福音館の当時の絵本全部が届いたようで、ダンボール何箱分もの絵本があったのです。父の間違いなのか、本屋さんの間違いなのかは分かりませんが、幸運に恵まれたと思っています。
お陰で、僕は福音館の絵本が血となり肉となって今に至っています。どの本も素晴らしくて、読み返すことがあっても、どれもいつも新鮮で。今ほど絵本が豊富にあった時代ではなかったのに、本屋のない離島の教員住宅の一室が子どもにとって天国のような場所でした。
福音館でそれらを作ったひとりが松居直さんだと知りました。月刊誌 母の友も、母が購読していたので、単に絵本やお話だけではなく、世の中のことを知る機会も子供の頃から身につける事ができました。連載されていた「銀のほのおの国」を少し大きくなって読むようにもなったので、何度も何度も引っ張り出して読んでいました。
おおきなかぶ、ぐりとぐら、じぷた、がらがらどん、てぶくろ、どろんこハリー、ラチとらいおん、しろいうさぎとくろいうさぎ、ブレーメンのおんがくたい、アンディとらいおん、マーシャとくま、、、
松居さんに心から感謝し、ご冥福をお祈りします。